58.59.冷たい校舎の時は止まる(上)(下) 辻村深月
58.59.冷たい校舎の時は止まる(上)(下) 辻村深月
今読み進めている本が、やや古典で読みづらく全然進まないのでなんかないかと書店をふらついていた。line漫画で無料で一巻でていたり、友人に紹介されたりとなかなか興味はあったので太さに怯まず、買った。計1200ページ強は今までで最長。
今まで読んだ辻村作品(4〜5冊だけど)の中ではダントツの出来ではないかと感じました。
散りばめられた伏線、綺麗な伏線回収、程よい?ホラー、謎、謎、謎。
自殺した友人を思い出すために集められた仲良し8人。彼らのバックグラウンドから犯人=自殺した人を推理しながら読み進めました。各々引け目を感じる出来事や、周りとの差に葛藤を抱えながら生きている。8人全員がしっかり描かれていて、その都度その都度考えさせられることがあった。ただ、ホラー要素が強すぎてリカちゃんと昭彦のあたりは怖くて怖くて仕方なかった。
実は、読み進めるうちに現実世界に戻って行く子たちの言動やらから自殺者が誰なのかは当たっていました。嬉しい。
ネタバレとともに書いてしまうが、辻村深月の世界で、榊は中立だった、ということが刷り込まれているが実際は違かった。自殺した春子への仕打ちが、直接ではないにしろどのようなものだったか、書かれずに終わる。仕方ない、とは思うけれど榊くんが殺してしまったと言っても全然おかしくはないものだった。死人に口なし、どんな気持ちだったかもわからない。
菅原→榊の伏線の張りっぷりは凄まじいですね。見落としているところもあるはずだから、1週目のストーリーを念頭に置いてまた読むこともお勧めできる。
悲しいし、すっきりし尽くして終わり、っていう話ではないのだけれど記憶に残るいい話でした。